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令和5年度 生活・学習サポーター養成講座 まとめ

令和5年度 宮崎県人権啓発推進協議会委託事業

多様な発達特性を理解して支援する
生活・学習サポーター養成講座

2023年8月26日〜12月2日 全5日間 14コマ

主催

一般社団法人みやざき子どもサポートリンク

協働

宮崎県人権啓発推進協議会(令和5年度人権啓発活動協働推進事業)

協力

国立大学法人宮崎大学障がい学生支援室

後援

宮崎県教育委員会 宮崎市教育委員会

目次

ご挨拶

近年、発達障害という言葉が広くきかれるようになり社会の関心も高まっています。

文部科学省が令和4年12月に発表した調査報告によると、通常の学級に在籍する児童生徒のうち「学習面又は行動面で著しい困難を示す」児童生徒の割合が、小学校・中学校では8.8%、高等学校では2.2%(いずれも推定値)と示されました。

このことは、現在困り感を抱えている児童生徒が少なくない割合で存在し、特別な教育的支援が早急に必要とされていることを表しています。

「発達特性を理解して関わる 生活・学習サポーター養成講座」は、多様な発達特性を理解して関わる支援者を社会に増やす目的で開催しました。

発達障害・先天性障害・視覚障害・重複障害当事者や医療・福祉・教育・企業等多岐に渡る講師のご協力を得てより多角的に学ぶことのできる内容ととしました。

5日間全14コマのカリキュラムには延べ623名の皆様にご参加いただき、心より感謝申し上げます。

多様な子ども達が自分らしく健やかに学び成長できるインクルーシブ社会に向けて、微力でもお役に立つことができたらスタッフ一同大変うれしく思います。

2024年1月19日
一般社団法人みやざき子どもサポートリンク 
代表理事 辛島育代

8月26日(土)宮崎市清武文化会館研修室1・2

「 発達障がいと生き辛さの関係 ー発達凸凹疑似体験ー 」
 一般社団法人みやざき子どもサポートリンク 代表理事 辛島 育代

発達凸凹疑似体験では、記憶情報の曖昧さや読みの困難さを体験できる課題に取り組んでいただき困難さを体験していただきました。困り感を一人で抱え込むのではなく、お隣の方と相談したり助け合えるように最初に自己紹介ワークを取り入れたことで楽しそうに交流されている様子が嬉しかったです。

対面講座ならではの賑やかな講座になりました。

参加者の声
  • 疑似体験がすごく良かったです。理解に対する手掛かりを見つけられなくて困っている。文字の捉え方や情報の捉え方で困っている、本人の気持ちをもっと尊重しようと思いました。
  • 疑似体験を通して困っている子の気持ちを感じることが出来た。
  • 保護者の心理的ストレスの話に共感しました。
  • なかなか聞けない保護者の声を聞くことができて理解を深めることができました。

「 多様な人が幸せに生きるヒント ー私の経験談ー 」 
 合同会社CYL代表 井下善博さん

大人になってから特性に気付き自己分析され、自己理解を深められた事や社会で試行錯誤してこられた経験等、ご本人だからこその貴重なお話でした。

失敗経験を糧に現在のお仕事に前向きに進まれている事、支援者としても活動に取り組まれていることなど、強い気持ちもお聴かせいただきました。

参加者の声
  • 人にとって苦手なこと、得意なことがそれぞれあるので得意なことを活かして、就学・就労できるような社会になるとよいと思う。
  • 発達障がいへの理解が、大人子どもに関係なく社会全体に広まってほしい。
  • ASDに気付き、自分自身を理解されてわかりやすく体験談を伝えて下さり支援の重要性が分かった。すばらしい自己分析だった。診断の有無に関係なく周りの理解、支援、環境が重要だと改めて考えさせられた。

「赤裸々に語る当事者の本音ー先天性障害の私ー」
株式会社ボラシェア企画室 IT事業促進部門 星崎大典さん 
「赤裸々に語る当事者の本音ー中途障害の私ー」
株式会社ボラシェア企画室 ハローダイレクト部門・Child事業部門
就労移行支援事業部門 平田清志さん

先天性障害者・中途障害者のお立場から、それぞれ違う経験をされた人生ヒストリーをお聴かせいただきました。向き合い、葛藤して自己理解・自己開示へと進まれてきた経験談をスライドや映像を交えながらお話しくださいました。

現在は職場で様々な工夫をされながらお仕事に邁進されていることなど、経験からのお話がダイレクトに参加者に伝わりました。

参加者の声
  • 今の状況を受け入れるところがスタート、可能性をあきらめずに自分に合った生き方を選択できる人生は素晴らしいと思った。
  • 経験談はダイレクトに伝わってきて説得力があった。
  • 当事者の方が実際に感じた困り感を知ることができて今後のサポートや理解の参考になりました。貴重な話をきけて良かったです。
  • 手伝ってほしい人と、ほっといてほしい人がいるので確認することが大事なんだと聞けて良かったです。

9月17日(日)宮崎市男女共同参画センターパレット

「宮崎市における特別支援教育について ー特別支援教育支援員の現状と課題ー 」
 宮崎市教育委員会 学校教育課 押川 由美恵さん

特別支援教育支援員には4種類ある。

  • 授業スタッフ:要教員免許(15名)
  • コーディ―ネータ―サポートスタッフ:要教員免許(14名)
  • スクールサポーター:通常学級にて発達障がい等のある児童への支援(72名)
  • 生活・学習アシスタント:下肢等の障害児童への支援(60名)

特別支援教育支援員の課題とは人材の確保や現場の支援員がジレンマを抱えていることである。 

参加者の声
  • 実際の教育現場の方や福祉の方、保護者の方と行政の方の意見交換の場の必要性を今回の講義を通じて実感しました。そうした場を作り出すことも必要なのかもしれません。
  • 特別支援教育の大切さを痛感している。インクルーシブ教育になって、早く特別支援学級や特別支援学校という枠組みがなくなって欲しい。
  • 学校管理職は数年、特別支援教育に関わった人がなることで、より職員への特別支援教育の理解が進むと思う。

「宮崎県の特別支援教育の現状と課題 」
 宮崎県教育委員会 特別支援教育課 山之内 秀典さん

宮崎県の特別支援学級・通級指導教室の設置状況について、宮崎県の増加率は他県と比べても多いという結果をデータを示して説明されました。

特別支援教育エリアサポート体制拠点校、学校巡回支援やエリア研修会等、支援の必要な子ども達の支援の為に先生方を手厚くサポートする専門家チームが7つあり、エリアサポートシステムが構築されていることを教えていただきました。

また、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業づくりハンドブックを作成し活用されていること、スクールワイドPBSに積極的に取り組んでいるとのことでした。

参加者の声
  • 子どもの困難感が先生の困難感にすり替わっていないかというお言葉にハッとさせられました。
  • 約15年で特別支援学級は2.2倍、通級による指導は3.3倍に増えていることに驚いた。
  • 県の取り組みについて現状を知ることが出来て良かった。高等学校の特別支 援教育は、進学校だけではなく実業系の高校にも必要であると感じた。また、進学、就職に際し多業種でのサポートへとつながる体制作りも急務だ と思う。
  • 今後、もっと教育と福祉の連携を図ることが必要だと思っていたので、今回学びを深められて良かった。

「発達障がいとインクルーシブ教育 」
星槎大学大学院 教育学研究科 教授 西永 堅さん

グローバルな視点で見た諸外国の「障害や特別な教育的ニーズのある子ども達の割合」についてや障害者権利条約の歴史、合理的配慮の考え方、学びの多様化等、多角的な視点からインクルーシブについてご講義いただきました。

障害者権利条約委員会による審査勧告(分離された特殊教育の廃止と質の高いインクルーシブ教育の推進の勧告)。しかし、諸外国では…の切り口の新しい視点のお話でした。

参加者の声
  • できるから、頑張れる。という言葉に共感した。
  • 合理的配慮とは無理しないでできる事というのは納得できた。
  • 日本だけでなく世界の教育事情も知ることが出来て視野が広がりました。
  • インクルージョン教育は個人に合わせるもので、障害受容の有無は関係ないというお話は目から鱗でした。

10月14日(土)宮崎大学附属図書館 hidamari

「 子どもの課題や困難さに気づく手立てとアセスメント 」 
 宮崎大学大学院教育学研究科 教授 戸ヶ崎 泰子さん

  • 主訴とはなにか
  • 子どもの課題や困難さに気づくた めの基本的な考え方
  • 有効な支援に結びつく丹念な実態 把握・見立て
  • 演習:行動観察項目の作成

実際に関わって来られた教育現場での事例をご紹介いただき、観察・分析の大切さについてや支援員として子どもを見立てる時に必要な事を分かりやすくご教授いただきました。

研究室で取り組んでおられるチャレンジ教室のエピソードや、子ども達が試行錯誤しながら成長していく様子など、参加者が熱心に聴き入っていました。

参加者の声
  • 主訴の大切さに改めて気が付けました。誰が困っているのか、大人・支援者が困っている話にすり替えないように気を付けなければと感じた。憶測で話をするのではなくしっかり本人の言葉を聞いて確認することをおろそかにしない様にしていきます。
  • アセスメントをしっかりする、やり方・考え方がずれていないか再チェックが必要。「発達障がい」という名前が実態把握にはならない。しっかり心に留めたいと思う。
  • 先生の実践例を挙げられたお話はリアルで非常にわかりやすく、共感することも多かった。
  • 先生や保護者の主訴と子どもの主訴は必ずしも一致していない。今までを振り返ると思い当たることがあり気が付かされました。見立てをする際の基本的な情報収集の大切さが理解できました。

「 見えにくい発達凸凹の世界 -凸を伸ばし凹をサポートする支援計画-」 
 星槎大学総合キャリア支援センター  特任准教授 三森 睦子先生

  • 凸凹は才能!脳の多様性を生かすには
  • なぜ見えにくい、理解されにくいのか?:事例紹介
  • 背景に何があるか考えて配慮しよう:氷山モデル
  • 脳の多様性(ニューロダイバーシティ)
  • 自尊心を失わないために:ポジティブな自己理解と合理的配慮

星槎大学総合キャリアセンターで多様な学生さんをご指導され、保護者支援もされてきたご経験から、ポジティブな自己理解へ繋げるための言葉かけや、カウンセリングマインドを大切にして関わる方法をご教授いただきました。ギフティッド教育のお話も新鮮でした。

参加者の声
  • 発達障害の人が働けない事で2.3兆円の損失があるということは驚きでした。
  • 発達障害の最も有害な影響は「自尊心を失う」こと。自立とは依存先がたくさんできる事など、もっともっと話を聴いていたかったです。
  • 発達の凸凹が大きいとできるのにやらないように見えてしまう。分かりやすい例を元に丁寧な解説で理解できた。
  • 「学校で見つけられない才能」一人一人に向いているものがありそれとのマッチングができていないだけ。前々からそう考えていたのでギフテッドの話とても印象に残った。
  • 自尊心を損なわないためには、ポジティブな自己理解を大切に「can~with」の考え方を意識して、今後利用者さんに向き合いたいと思いました。
  • 自己肯定感について、ポジティブな事だけでなく凸凹全てを全部認める事が大切だとわかった。凹は訓練ではなくサポートでよいという考え方はハッとさせられました。

11月14日(土)宮崎大学附属図書館 ワークショップコート

「 トランスジェンダー 僕とお母さんの話 」 当事者と保護者

17歳の当事者さんが、ご自身の言葉で幼少期から感じていた事や成長の課程での心の変化について率直なお話をされました。

お母様もご登壇され、打ち明けられた時の気持ちや言葉かけについて、受容して応援していることや、病院受診について情報がない中で調べぬいて情報収集をされたご経験、複雑な医療制度についてのお話もありました。

参加者の声
  • とてもよく勉強されていることが伝わってきました。知らなければ、分からない。だからこそ大人側が理解を深めることが重要。教育の現場で、配慮がもっと浸透すればよいと思います。
  • 周囲の理解がとても大切だと思った。外国にくらべて、日本の法整備と性教育の遅れを感じた。
  • FtMという情報を知るだけで世界はが広がり、当事者は孤独から解放される。知識は大切だと思いました。
  • 小さい時から色々な人がいる、ということを当たり前のように教えていくと、苦しむ人は減るのではないかと思った。あいまいなものは曖昧でもいい。という言葉は何だか安心した。

「 大学における障がい学生支援」 
宮崎大学 安全衛生保健センター 障がい学生支援室 准教授 楠元 和美さん

宮崎大学における障がい学生支援の現状について、様々な障がいの方が合理的配慮申請をされて学ばれている事を教えていただきました。

ソフト面だけでなくハード面でもキャンパス内のユニバーサルデザインを進めてらっしゃるとの事でした。相談の仕方や、障害者手帳や診断書の提出について等の質問も多くみられ、参加者の関心の高さが伺えました。

参加者の声
  • 令和6年から合理的配慮が(企業・民間も)義務化される。日本では障がいのある大学生の割合は1%に満たないが、海外だと10%の 所もあると知り勉強になった。
  • 宮崎大学における障がい学生支援体制。九州地区のネットワーク等支援が充実していることを知れて大変勉強になった。学生からの申し出により支援がスタートするという点は、ハードルが高いような気がしたが、小・中・高での指導・支援を通して自己理解や相談する力を育成していく必要があると思った。

「 働きづらさを抱えた人が自分らしく活躍できる職場とは」
株式会社 グローバル・クリーン 専務取締役 税田 倫子さん

グローバルクリーンさんが社員さん一人ひとりを大事にされ、お掃除の仕事を通してその人が成長し輝ける取り組みをされていることをご紹介いただきました。

一人一人に合わせたキャリアアップ研修や目標の設定など、ステップアップする仕組みも構築されるなどの取り組みを分かりやすく解説されました。

参加者の声
  • 「ライフ・ワークバランス」ライフの方が先。働ける時間は人それぞれ、人生に合わせる働き方が大事。
  • お掃除を通して社会課題に挑戦されていて、大変感銘を受けました。とても素晴らしい理念のもとに試行錯誤されながら会社を大きくされ、宮崎 モデルとして他県にも広がってるということに感動しました。全国に広がって欲しいと思います。

12月2日(土)宮崎大学附属図書館 ワークショップコート

「 ともに働くをサポートするとき」
キャリアアシスト宮崎 支援員 高尾 桂 さん

就労移行支援、生活訓練の実際について支援事例をご説明いただきました。当事者インタビューでは、当事者さんの言葉で就労移行支援サービスを利用した経緯、困り感に関すること、今のお仕事への想い等語っていただきました。

高尾支援員と成人当事者さんの信頼関係が伝わってきました。レポートでは沢山の感想やご意見をいただきました。

参加者の声
  • TTAPというアセスメントをして、利用者さんの状態を明確にしてスタッフで共有し、日々の職業訓練を行う柱にするということがわかりました。
  • 生活やコミュニケーションを通して就労に繋げていく事がすごくいいと思っ た、インタビューで講師が当事者さんに話しかける姿に信頼関係を感じました。
  • 子どもの行動を細かく見分析しながら対応することの大切さを学ぶことができました。
  • 障がい福祉のサービス内容を知ることが出来て良かった。相談先が分かった ことで安心しました。

「 発達障がいと二次的な障がい」
宮崎大学医学部臨床神経科学講座 精神医学分野助教 大平洋明さん

医学的な見解から発達障害についてご説明いただきました。医学的には二次障害という使い方はなされないということで、そのことについて沢山の資料をご提示いただき、理解しやすくご教示いただきました。

質疑応答ではお薬での治療に関するご質問もあり、とても丁寧にご説明いただきました。

参加者の声
  • 大平先生の「発達障がいのある人にも思春期がやってくる。」あたりまえの 言葉なのでしょうが、ハッとしました。。
  • 精神発達の到達地点が不明確というお話は、目からウロコで勉強になりました。「自殺について打ち明けられた時の対応法」はとても勉強になり役立てたいと思いました。支援者も一人で抱えてはいけないチームワークでというお話が心に残った。
  • 二次障がいはご家族と本人の「奮闘の後」と資料に書いてあり、とても心に残りました。

「 多様な子ども達への学習支援 中学生編」
学習指導&サポート 元山 緑さん

みどり先生の作成されたプログラミング「スクラッチ」を使って講座を進めていただきました。

実際に中学校で支援に関わられた事例や、授業の際に使われた学習支援ツールも実際にご紹介いただき、視覚的な支援のイメージを大変分かりやすくご教示いただきました。

参加者の声
  • 授業に参加していない時はあらゆる面から考え分析してそれに応じた対応や支援をすることが大切だとわかりました。適切な支援について勉強させてもらいました。
  • 特性を持っている彼ら自身が自分の凹の部分を何とかしたいと思っている。でも何ともならない事に苦しんでいる。そのことを理解したいという気持ちを常にもって関わっていきたいと思いました。
  • 元山先生の努力がすごいなと思いました。意欲をひき出すかかわり、本当にすばらしい取り組みをされていると感動しました。

実施期間・会場

日時

令和5年度 8月26日~12月2日 全5日間

会場

宮崎市清武文化会館 
宮崎市男女共同参画センターパレット
宮崎大学附属図書館

対象

どなたでも可(子どもの支援に関心がある方)

参加人数

日付コマ数人数
8月26日(土)3コマ延べ134人
9月17日(日)3コマ延べ160人
10月14日(土)2コマ延べ88人
11月4日(土)3コマ延べ109人
12月2日(土)3コマ延べ132人
5日間合計14コマ延べ623人

1コマのみ受講の方もいらっしゃいましたので、延べ人数としています。

終わりに

この度、多くの講師の皆様をはじめ会場手配や運営に際し様々な方々のご協力を賜りまして、無事に全ての講座を終了することが出来ました。
ここに心より感謝申し上げます。

ご参加いただいた皆様誠にありがとうございました。

ボランティアスタッフとして
ご協力いただいた皆様誠にありがとうございました。

・社会人有志ボランティアの皆様
・宮崎大学医学部看護学科学生ボランティアの皆様

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