多様な発達特性を理解して支援する
生活・学習サポーター養成講座
令和5年度の「生活・学習サポーター養成講座」のまとめを掲載しました
2023/12/03
「令和5年度 生活・学習サポーター養成講座」は終了しました。
次年度の講座を確実に受講されたい方は、みやざき子どもサポートリンク公式LINEにて開講をお知らせしますので、ご登録をよろしくお願いいたします。
発達特性のある子ども達の困り感を理解し、生活・学習支援におけるサポーターとしてのかかわり方を学ぶ講座です。日常生活の中や教室の中でできる実践的な教科学習の具体的支援・生活を支援するアプローチ方法を身につけることができます。
全てのコマを履修された方には、「生活・学習サポーター養成講座 修了証」を交付します。
「発達特性のある子どもたちと向き合う中で、彼らの悩みや困りごとを理解し、適切な支援ができるようになりたい…」
「知識だけではなく、現場で活かせる実践的な支援の方法を学べる場はないだろうか…」
そうお考えの方が、きっとこの文章を読んでくださっているのだと思います。
発達特性のある子どもたちへの理解は、この数年間でかなり進んできました。そのこと自体はとても喜ばしいことです。ですが、まだまだ教育現場において「支援する」「サポートする」という立場になった時に、どうすればいいのか?を体系的に学べる環境は決して多くありません。むしろ圧倒的に足りていないというのが現状です。
だからこそ、私たち「みやざき子どもサポートリンク」は、発達特性のある子どもたちが、より伸びやかに、より楽しんで、より快適に、学び・成長していくためのサポートを行える支援員を養成する必要があると考えました。
前身である「スマイルクラブ」から10年近くにわたって、私たちは、困り感のある子どもたちやその保護者のための講座や勉強会、講演会などを重ねてきました。その中で、たくさんの保護者の方々、子どもの発達について専門的に研究されている先生方、現場で実践的に活躍されている先生方とのご縁をたくさんいただくことができました。
そして、現在「一般社団法人みやざき子どもサポートリンク」として、多くの方々のご協力をいただきながら「生活・学習サポーター養成講座」を開催しています。ありがたいことに、個人でのお申し込みだけでなく、放課後等デイサービスなどのスタッフ研修としてのお申し込みもいただいてきました。
私たちの「生活・学習サポーター養成講座」では、発達特性について研究されている専門の先生方や、実際に現場で実践されている先生方など、選りすぐりの講師陣から学ぶことができます。また、講座を受講するだけでなく、ワークシート課題やグループワークを通じて、実践的な知識やスキルを身につけることができます。
ここでしか学べないことがあります。
ここでしか聞けない話があります。
今、あなたが必要としていることを、私たちは自信を持って提供できると自負しています。子どもたちの未来のために、適切な支援ができる知識と力を、一緒に身につけてみませんか?
講座の概要
「生活・学習サポーター養成講座」は、大きく7つの領域に沿った内容で構成されています。
さらに具体的な講座の各単元では、以下のような内容を講師の先生方にお話しいただきました(これまでに開催してきた単元の一部となります。年度によって内容や先生に変更はあります)。
講座単元(過去開催のもの) | 講師 |
---|---|
困り感を実際に疑似体験 | (一社)みやざき子どもサポートリンク 辛島育代 |
保護者のかかわり 発達特性のある子どものライフステージ | ポン太クラブ (一社)みやざき子どもサポートリンク 外山明美氏 |
学童期の子どもの観察のポイントと支援の実際 | 宮崎市立小学校 生活・学習アシスタント 勇美美香氏 |
生活訓練と就労支援 ~義務教育後の福祉サービスの現場から~ | キャリアアシスト宮崎 支援員 (一社)みやざき子どもサポートリンク 高尾桂氏 |
発達障がいとインクルージョンについて | 星槎大学 西永堅氏 |
インクルーシブな教育の在り方と合理的配慮(仮) | 宮崎市教育委員会 学校教育課 山之内秀典氏 |
家庭・教室で活用できるICT支援 | ミリョクラボ 吉元 寿林氏 |
子どもの特性やつまずきから考える教科学習支援 LD(限局性学習症)読み・書き困難への具体的支援 | 株式会社 寺子屋MOMO かすみ先生 |
子どもの特性やつまずきから考える 生活場面でのかかわり方 | 株式会社 寺子屋MOMO 中山和代先生 |
「見えにくい発達の凸凹 ー凸を伸ばし凹をサポートする支援計画ー」 | 星槎大学 総合キャリア支援センター 特任准教授 三森睦子氏 |
「見方を変えて味方になろう ―リフレーミングー」 | 星槎大学大学院 教育実践研究科 教授 阿部利彦先生 |
発達凸凹の理解 ー多様性の気付きー | (一社)みやざき子どもサポートリンク 辛島育代 |
発達特性のある子どものライフステージ | ポン太クラブ (一社)みやざき子どもサポートリンク 外山明美氏 |
発達障害とインクルーシブ教育 | 星槎大学大学院 教育学研究科教授 西永堅氏 |
自分らしさへの旅 不登校からの選択 | スマイルクラブ会員のお母様 |
困り感をサポートするICTでの支援 | ミリョクラボ 吉元 寿林氏 |
当事者の経験から学ぶ | 株式会社ボラシェア DreamSpace 星崎 大典氏 |
教室でできる発達障害児の支援 – 昨日分析に焦点を当てて – | 早稲田大学 人間科学学術院 准教授 大月 友氏 |
発達障害教育の最新情報 – トライアングルプロジェクトについて – | 国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター 総括研究員 井上 秀和氏 |
生活訓練と就労支援 – 義務教育後の福祉サービスの現場から – | キャリアアシスト宮崎 支援員 (一社)みやざき子どもサポートリンク 高尾 桂氏 |
見えにくい発達の凸凹 – 凸を伸ばし凹をサポートする支援計画 – | 星槎大学 総合キャリア支援センター 特任准教授 三森 睦子氏 |
「生活・学習サポーター養成講座」を受講すると…
全てのコマを履修された方には、【生活・学習サポーター養成講座 修了証】を交付します。また、本資格は履歴書や職務経歴書にも記載が可能です。
「生活・学習サポーター養成講座」を受講することで、以下のようなメリットがあります。
- 発達特性のある子どもたちの立場に立った理解が深まる
- 多様性の受け入れ、効果的な支援方法の習得
- 認知特性に応じた観察力や柔軟な支援策が身につく
- インクルーシブ教育の理解が深まり、より多くの子どもたちの支援が可能になる
- 子どもの理解が進み、支援方法がわかるため、スタッフの負担が軽減される
- 一人ひとりに合った支援計画の立案・実施ができるようになる
- 学校・放課後等デイサービス・塾など、教育現場において、正しい知識に基づいた適切な支援が行えるようになる
- 家庭での子どもの支援に活かせる
- 一緒に学ぶ仲間、困り事を相談できる場を持つことができる
その結果、
子どもたちが自分らしく、笑顔で、学び、活動し、生きることができる
支援員・スタッフが、子どもたちを理解し、適切な支援が可能になり、ストレスなく働ける
私たち、人間一人ひとりが、本当の意味で尊重される社会へとつながっていく
このように、誰もが笑顔でいられる未来を作ることができると、私たちは信じています。
講座の対象者
- 本講座に興味・関心のある方
- 特別支援教育支援員
- 教育関係者
- 放課後等デイサービス職員
- 学童保育スタッフ
- 児童クラブスタッフ
- スクールソーシャルワーカー
- カウンセラー
- 福祉関係者
- 保護者…等
学童期から青年期の子どもの支援に関心があり、心身共に健康な方であれば、どなたでも受講できます。
受講に必要な要件
- 自宅でインターネットに接続できる環境
- ZOOMインストールが可能なパソコン、PCのメールアドレス
- 基本的なパソコン操作ができること(メール送受信・WordやPDFファイルの展開・ZOOMアプリインストール等)
受講者の感想
受講された方々からは、多数ご感想をいただきました。抜粋して掲載します。
4月生まれと3月生まれで差があるのは何となく理解していましたが、ADHDなどにも強く影響しているのには驚きました。
また概念の部分では学ぶことが多く、比較概念では後ろの言葉に意識が向いたり、抽象概念では歩いたり、仲良くしている部分をイメージさせるように絵で教えるなど、実際の場面ですごく使える内容だったと思いました。
認知発達は個人差があるので、年齢で分ける学年編成では不利になる子どもがいることが分かりました。それを考慮して対応したいと思います。
また、人間は目でものを見ているのではなく、過去の学習、経験、知識をもとに脳で再現しているから、一人ひとり価値観が違う。普通を目指すことで苦しむ子どもがいることを知りました。 とてもいい講演で今後に活かしていきたいと思いました。ありがとうございました。
今、感覚統合の必要性を特に感じていたので感覚に関する話を具体的にたくさん聞くことができてよかったです。大人の感じ方、子どもの感じ方、発達段階によって違うのは頭では理解できても、知るとできるでは雲泥の差があります。モスキート音を使っての話はイメージもしやすかったです。
バリアフリーの視点も必要ですが、時代の要請に合わせて、人々の意識の高まりに合わせてインクルージョンへと意識も変えていかなければいけないですね。ありがとうございました。
具体的な支援や、現場の様子がわかりやすかった。支援が必要な子どもだけでなく、他の子ども達にとっても、支援員の存在が良い人的環境になると思う。
支援者は黒子。教員やスクールコーディネーターのように感謝されることはない。解ってはいても、報われないもどかしさ感じる時もあります。そこを阿部先生がおっしゃってくださったことで、胸のつかえを取れました。
児童の心の自立や成長が支援者の幸せだと思います。それを励みにサポートしていきます。 また、受講者と一緒にリフレーミングして、視野が広がりました。 充実した講演ありがとうございました。
先生の病名にこだわることなく、マーブルという考え方に強く共感しました。 病名に拘ると、個性がそっちのけになって、単一的な関わり方になってしまうなぁと思ってましたので。 リフレーミングも、支援だけでなく、起業におけるメンタルトレーニングでも出てきて、紙面上では、答えられても、実際、我が子には、全然出来ないんですよね。 沢山、傷つけてきたなぁと再三反省するのですが、なかなか… まずは、我が子へ、リフレーミングを自然に出来るようになりたいと思いました。
先生の人に対する見方が、そのまま支援に繋がる事ばかりだと感じたので、私生活から、変えていき、支援にも生かせるようになりたいと思いました。 とても、分かりやすく、心温まる講義をありがとうございました。
学校現場では、離席や暴言で学級運営がうまくいっていないクラスもあります。 目立ってしまう児童に対する接し方を変えると関係性も改善に向かうと思うのですが、担任次第っといった現状です。目立ってしまう児童は才能に満ちあふれていると思います。
支援員にできることを微力だと思いますが、現場で子どもたちの近くにいれるので、寄り添える大人でありたいと、三森先生の講演を受講して改めて感じました。ありがとうございました。
子ども達の苦手をサポートしながら、得意な所を武器に自尊心を育むことが大事だと、再確認しました。 支援の方向性を、関係機関と共有しながら、自立に向けて長期的に支援していく必要性を感じています。
約 1 年ほど前、知人と会話していた際、「日本のインクルーシブ教育は遅れている」と聞き、それがインクルーシブ教育という言葉を初めて知ったきっかけでした。
それから自分でネットで内容を調べたのですが、障害のある人とない人が同じ空間で必要に応じて合理的配慮を受けながら学ぶという点について、今の教育体制で本当にうまくいくのだろうかとずっと疑問に思っていました。 今の年齢主義のクラス編成が当たり前のことだと思い込んでいて、そこにも問題があるとはこれまで考えもしませんでした。
先生の講義では、個人の認知発達のスピードの違いがあることやそれに合わせた指示の出し方・教育カリキュラムが 必要だということ、また、不登校児童が抱えるモヤモヤの原因など、子どもを理解するヒントを沢山いただきました。ありがとうございました。
非常に分かりやすく行動分析を説明していただきました。 誰かのせいにするのは簡単なんですよね。 そうではなく、「では自分に何ができるのか?」に焦点を当てることが第一歩。
そのうえで、行動そのもののメリットをよく観察することの大切さを再確認する機会となりました。私が痩せないのも、今の状態に何らかのメリットがあるからで、それを直後のメリットと後ほどのメリットに分離して考える方法は目からウロコでした。
まずは目の前の メリットに着目して、私自身の行動も子ども達の行動も意識してみると見えてくるものが変わるかもしれないと思いました。 大変ためになる話でした。ありがとうございました。
ABC の視点から本人のメリットを尊重しつつ、好ましい行動や適切な言動に置き換えできるよう声かけし ようと思いました。とても有意義な講座でした。ありがとうございました。
得意なことを伸ばし自尊心を育てることを意識してスタッフや仕事で関わる子どもたちに接していきたいとおもいました。
伝えたこと、依頼したことをできるけど面倒で対応しなかったのか、 理解するのが困難等の理由で対応が うまくできないのか、そこを判断するのは難しいことですが、相手と対話をしたり、日々の言動をみながら、フォローしたり、一緒に考えていける行動を心がけていこうと思います。
ちょっとましな行動というワードが素敵でした。学校や保育園に訪問しており支援方法を色々検討するけれど上手くいかないことがあり、考え方の参考になりました。貴重なお時間ありがとうございました。